うさぎの本棚 -5ページ目

『硝子のハンマー』 貴志 祐介

硝子のハンマー
硝子のハンマー

舞台は六本木センタービルの最上階。
株式上場を控えた介護会社ベイリーフの社長が
密室状態の社長室で殺されていた。
弁護士の青砥純子と防犯グッズショップの店長の榎本径が
密室の謎を解いていく。

正直ちょっと中だるみしてしまった。
トリックを解明しようと色々な方法が
検証されていくのだけど
(なかには青砥純子の素人発想もあり)
なかなか当てはまらない。
じらされるとかなりイライラする方なので
このじらしはちょっと長すぎた!

一章の展開の遅さに比べると
二章はものすごいスピードですすんで
結末へとたどり着く。
じらされたあげくの結末がこれまた
むむむ…というところ。

ただ、榎本径はちょっと魅力的だった。
クールそうで、ちょっと可愛いところもあって…。
ぜひとも再登場をお願いしたい!

『THE STUDY OF COMME des GARCONS』 南谷 えり子

スタディ・オブ・コム デ ギャルソン
スタディ・オブ・コム デ ギャルソン

1981年にパリコレデビューしてから2003年までの
コムデギャルソンの歴史を顧みたもの。

内容的にはコムデギャルソンの絶賛本というところ。
ギャルソンファンにはたまらない内容だろう。
今までのショーの写真や、一部服のパターン画も
紹介されている。

私は川久保玲よりも山本耀司派なのだが、
この二人結構比較されるている。
どちらも日本が誇るブランドである。
二人とも慶応大卒で一時期つきあっていたらしい。
やはりお互いに感じ合うところがあるのだろう。

コムデギャルソンの服は、決して着やすいとは言い難い。
服の個性に負けないだけの自分というものを
しっかり持って袖を通さなければ
服が独り歩きしてしまう。

先日読んだ江國香織の『間宮兄弟』のテーマでもあるが
自分らしさを持ち続けるのって難しい。
ともすれば右にならえになってしまいがちだ。
ヨーロッパの既存の美の価値観のなか
パリコレに殴り込みをかけた(?)
川久保さんの創造性に改めて驚かされた。

『スキップ』 北村 薫

スキップ
スキップ

時代は昭和40年代初め。
一ノ瀬真理子は17歳の女子高生。
家でレコードをかけながらうたた寝を始めた。
目がさめると…見知らぬ家で
夫と17歳の娘のいる42歳の桜木真理子となっていた。

目が覚めたら虫になっているのもびっくりだけど(カフカ)
いきなり25年も経ってるのはビックリ!
眠り姫なら王子様が目覚めさせてくれるんだろうけど
真理子はほんの一瞬眠ったつもりが
いきなり25年もたってて、しかもその間の記憶が全くなし。

私だったらかなりショックだと思うな。
逆なら大歓迎だけど…。

それにしてもこの主人公、高校の国語の教師だったんだけど
このあいだまで高校二年生だった子がいきなり
高校三年の授業ができちゃうなんてすごい!
学級日誌の生徒とのやり取りの文章なんかも
とても高校生とは思えない。

ま、そういう細かいことは別としても…。
「わたしのモットーは<嫌だからやろう>なの」
という真理子。
夫や娘の美也子に助けられながら、
新しい境遇のなかで奮闘している。
そしてそんな真理子の姿に、夫や娘も新鮮な気持ちで
自分を見つめ直していく。

もう、年だから無理だとか
今さら出来ないとか思っている自分の怠け心に
カツを入れてくれる作品だった。

乙一さんの『ZOO』YAHOO!で先行視聴

ここで『ZOO』のなかの『SO-far(そ・ふぁー)』を劇場公開に先駆けて先行視聴できます。

『SO-far(そ・ふぁー)』は『ZOO』のなかでは恐くなかったし
何と言っても神木隆之介クンが可愛い!
『陽だまりの詩』も泣ける作品だったけど
これはCGアニメーションらしい。

その他は…恐くてとても見られない…

『冷たい森の白い家』が一番恐かったけど
これは今回映像化されてないのかな…?

『ブルータワー』 石田 衣良

ブルータワー
ブルータワー

9.11貿易センタービルの崩壊に触発されて書いた作品。
石田さんが初めて取り組んだSFだ。

脳腫瘍に侵され、余命数カ月と宣告された主人公瀬野。
ある日からひどい頭痛とともに未来の世界へトリップするように。
200年後の世界では黄魔といわれるウィルスが猛威っていた。
通称ブルータワーのなかでは暮らす階によって階級が決まっている。
しかも、このタワーにさえ住むことができない
貧しい人々はタワーの外でウィルスの恐怖に怯えて暮らしている。


前評判を全く聞かずに読み始めてしまったため、
何頁か読んだところでやっとSFと気付く。
SFは苦手なんだよねぇ。
しかも生物兵器が出てきてウィルスについての
結構細かい内容が書かれている。
これも専門知識がないので全く理解できずという状態。

それでもその辺の設定にあまり気を取られずに読めば
ストーリー自体は読みやすい。

途中でラストは想像できるんだけど
ま、石田さんの世界を楽しめる作品ではある。

それにしてもお金持ちってやっぱり高い所が好きなのね。
世間を見下ろせるからなのかしら?
あまり高いところに住んでいると良くないっていう
話をきいたことがあるような…。

『村田エフェンディ滞土録』 梨木 香歩

村田エフェンディ滞土録
村田エフェンディ滞土録

今から約100年ほど前に土耳古(トルコ)に留学した
主人公村田の滞在録。

物語は1899年から始まる。
村田は土耳古皇帝のからの招きで、文化研究のために
スタンブールに滞在していた。
村田の下宿には英国人の女主人ディクソン夫人、
土耳古人の召使いムハンマドがいる。
下宿仲間には独逸人考古学者のオットー、
希臘(ギリシア)人研究者のディミトリス、
そして鸚鵡がいた。

正直、世界史は苦手で1899年のトルコといわれても
どんな時代なのかさっぱりわからず、
トルコに革命があったんだ…なんて
お恥ずかしい状態の私。
そのうえ、淡々と描かれているので
何度投げだそうと思ったことか…。
(正直、1/3くらいのところで一旦投げ出した)

それでも次に予約も入っているし
きっと面白いに違いないと
苦痛に耐えながら読みすすめた。
そして迎えたラスト…。
あったかいような、切ないような…
感動してしまった。

最後まで読んでよかった…。

本日の図書館借り出し本

■■■ 本日の図書館借り出し本 ■■■

『白の咆哮』 朝倉 祐弥/集英社
『天使と悪魔』上・下 ダン・ブラウン/角川書店
『ペンギンの憂鬱』 アンドレイ・クルコフ/新潮社
『義経』 司馬 遼太郎/文芸春秋
『Space&projects×100 Infix works』 間宮 吉彦/文芸春秋企画出版部
『サラリーマン・OLの1日を英語にしてみる』 西村 恵美/ベレ出版
『煎茶入門』 /主婦の友社
『煎茶の点前』 /主婦の友社


『天使と悪魔』やっとまわってきました。
『ダ・ヴィンチ・コード』つながりです。

『義経』は大河ドラマがらみで…。
原作本じゃあないですけど、歴史物はやっぱり司馬遼でってとこです。
いっぺんに前回予約を入れずに1巻だけにしておいた私ってなんて偉いのかしら♪
(そんなこと当たり前?)

『Space&projects×100 Infix works』は間宮さんの作品集。
発売前に予約入れたら私のために購入してくれた。
他に読む人いるのかしら?
(それは間宮さんに失礼ですね。ごめんなさい)

『サラリーマン…』はCDつき!
こんなものまであるなんて図書館ってほんと素敵。

4ページ目で投げ出した本


不在宮沢 章夫

この人の作品は初めてだったので
どんなのだろう…とワクワクしながら
表紙を開いた。
(初めて読む作家さんってワクワクしちゃうのよね)

1ページ目。
うん? なんだか読みにくいぞ…。
文字面を追うだけで内容が入ってこない。
何なんだろう…

2ページ目。
ますますわからない…。
この作品、文章が冗長なんだ…。

こういう冗長な文章って苦手。
どこまで続くのこの文章…。
いち、にぃ、さん…
ひえー一文が8行もある。

3ページ目。
なんとか耐えて読むが、
ここまでの内容がちっとも頭に入っていない。

4ページ目。
もうダメ…。

ついに投げ出してしまった!

4ページで投げ出した。
たった3ページで投げ出した本は
もしかして人生初めてかもしれない。

この方、劇作家・演出家・作家という肩書きで
遊園地再生事業団の主宰者らしい。

何年か前の作品が芥川賞候補になったこともあるとか…。

これは単純に好みの問題。

私は冗長な文章を読むのは嫌いなんだ!

『間宮兄弟』 江國 香織

間宮兄弟
間宮兄弟

35歳の兄明信と32歳の弟徹信。
独身の二人は一緒に暮らしていて、
どちらも女性には縁がない。

それでも二人はとっても楽しく生活している。
好きな音楽をかけたり、読書をしたり、
ジグゾーパズルに夢中になったり。
離れて暮らしているお母さんのことを
大切にしていて、毎年誕生日のお祝いの
食事は決して欠かさない。

大人(中年)なんだけど、少年みたいな
間宮兄弟。
そんな二人が恋をした。

これって一応恋愛小説なんだろうか?
こんな兄弟って素敵。
とってもあったかくて
お互いに思いやっていて、
自分の世界も、二人の世界もしっかり持っている。
こんな生き方ができたら素敵だな。

本間姉妹もとっても素敵。
この作品には悪い人が出てこないので
終始あったかい気持ちで読むことができた。
世の中みんなこんな人たちばっかりだったらいいのに。


最近マザコンと呼ばれる男性がまわりにも
結構いるけど、マザコン別にいいじゃない。
自分の母親を大切にする男性って素敵だと思うな。

『ホテルカクタス』 江國 香織

ホテルカクタス
ホテルカクタス

ホテルカクタスという名のアパートに住む
帽子、きゅうり、数字の2の友情物語。

タイトルから想像していたのとは全く違う内容だった。
いきなり帽子にきゅうりに数字の2が出てきたから
びっくり!
なんだか妙な設定ではあるが、3人(?)とも
キャラクター立てがしっかりしていて
物語の世界にすんなりと入ることができた。

佐々木敦子さんの油絵も素敵で
ホテルカクタスのイメージをより膨らませてくれる。